【特許請求の範囲】の書き方について (その13)

 

 次の下位概念の請求項を考えていきます。

 

 44日のエントリーでは、下位概念(請求項5)では、以下のような仮クレーム(青字)を作成しました。

 

 “保持部の二次電池の冷却装置”を、

 保持部は、保持部の電池を冷却する冷却装置を有することを特徴とする請求項4に記載のカーナビゲーション装置。

 

 これに対して、実際の請求項6は以下のようにしました(太赤字)。

 

  【請求項6】

 前記発電部は、光、及び熱の少なくとも1つを電気エネルギーに変換するものであり、

 前記保持部は、前記発電部で得られた電気エネルギーに基づいて駆動され、前記第2電池を冷却する冷却部を有することを特徴とする請求項5に記載の情報出力装置。

 

 発電部を、冷却部による冷却効果が得られやすいもの(光に基づく発電、または熱に基づく発電)に限定しました。


【発明の詳細な説明】の書き方について (その22)

 

 前述の尚書き部分については、【特許請求の範囲】が書き終わってから、もう一度見直す必要があります。

 既に、仮クレーム作成が終わっていますから、【特許請求の範囲】の方針は一応決まっているのですが、明日以降お話する【特許請求の範囲】の作成では、用語を上位概念(または下位概念)に変える変更が起こりえます。

 このため、尚書き部分は、とりあえず項目だけ挙げておいて、【特許請求の範囲】を書き終わってから、正式に書き直すやり方でも結構です。


【発明の詳細な説明】の書き方について (その21)

 

 総ての実施形態(第1〜第4実施形態)が一応書き終わったら、ここまでの話に誤記とか矛盾ある説明が無いかの見直しをしてください。

 無意識のうちに、同じ部位なので、異なる用語を使っていたりします。

 特に、日をまたがった場合に、前の日までに書いたことを忘れちゃっている場合は要注意です。

 これで【発明の詳細な説明】が終わりではなく、尚書きで、書き損じたことを追記していきます。

 具体的には、【特許請求の範囲】では、広い概念の用語を使っているのに、【発明の詳細な説明】では、狭い概念の用語を使っている場合に、広い概念をカバーする別の用語を挙げて説明しておくことが挙げられます。

 青字で、実際に私が考案した発明の特許明細書の例を説明します。

 

   【0072】

 なお、第3、第4実施形態では、受信部16が本体部10に設けられる形態を説明したが、保持部30に設けられ、第2制御部39が第1制御部29に第1情報を送信する形態であってもよい。この場合、本体部10と保持部30とを接続する線は、電力供給のための電源線だけでなく、第1情報を第2制御部39から第1制御部29に送信するための信号線も設けられる。

   【0073】

 また、第1〜第4実施形態では、発電部31は、太陽電池であるとして説明したが、太陽電池に限られるものではなく、熱、風、振動などのエネルギーを、電気エネルギーに変換する装置であってもよい。熱エネルギーは、車両のフロントガラスを介して入射する太陽光から得られるため、昼間であれば、車両のエンジンの運転状態によらず電気エネルギーに変換することが出来る。風エネルギーは、ダッシュボードからフロントガラスに向けて吹き付けられるエアコンの送風(エアコン吹き出し口からの風でもよい)から得られるため、エアコンの運転中に電気エネルギーに変換することが出来る。振動エネルギーは、エンジンの運転による車両の振動から得られるため、圧電素子などを用いて、エンジンの運転中に電気エネルギーに変換することが出来る。

 

 【0072】では、第3、第4実施形態で使った受信部16が本体部10に限らず、保持部30に設けられてもいいことを説明しています。

 これは、後ほど説明する【特許請求の範囲】の請求項2では、受信部が、保持部と本体部の少なくとも一方にあるとしているため、本体部に限ったものでは無いですよ。もし保持部に設けられたとしたらこんな動作になりますよってことを説明しています。

 この【0072】が無いとどうなるか?

 【特許請求の範囲】では、保持部と本体部のどちらでも良いとされているが、【発明の詳細な説明】では、保持部に限定された説明になっており、【発明の詳細な説明】に書かれていませんと審査で指摘される(364項や6項違反の拒絶理由にされる)可能性が出てきます。

 わざわざ【発明の詳細な説明】に書かなくても分かる場合には、そのような拒絶理由は挙げられないかもしれませんが、書いておいた方が無難です。

 もし、指摘された場合、【発明の詳細な説明】に【0072】のような説明を追加する補正しても、新規事項の追加に相当して補正が却下される可能性もあります(つまり、修正不可能な致命的なミス)。

 また、運良く審査では特に指摘されなかったとしても、訴訟において、保持部が受信部を設けた形態を第三者が実施していた場合に、特許侵害になりませんよという反論の余地を与えることにもなりかねません。

 このため、【特許請求の範囲】で書いた上位概念を、【発明の詳細な説明】の実施形態で書いた下位概念で十分に網羅出来ていないかもしれないと感じた場合には、尚書きで、その差を埋める説明をしておいたほうがいいです。


【発明の詳細な説明】の書き方について (その20)

 

 第4実施形態を詳細に説明します。

 青字で、実際に私が考案した発明の特許明細書の例(第4実施形態)を説明します。

 

   【0069】

 なお、電流検知を行う電流検知部40、及び第1情報発信を行う発信部41は、いずれもアクセサリ電源からECUへ供給された電力に基づいて駆動される。従って、アクセサリ電源がオフ状態の時には、電流検知部40、及び発信部41は、いずれも電力を消費しない。

   【0070】

 第1制御部29は、受信部16が第1情報を受信していない間は、車両のアクセサリ電源がオフ状態にされていると判断して、モニター17の表示など本体部10のメイン動作をオフ状態にする。なお、第1情報の受信、時計機能、及び図4で示される電力供給制御など、常時行われる動作は、かかる電流検知部40における検知結果に関係なくオン状態にされる。

   【0071】

 第1制御部29は、受信部16が信号受信をしている間は、アクセサリ電源がオン状態であることを示す情報に加え、車速信号パルスからの車速に関する情報が得られるので、かかる車速に関する情報と、本体部10に設けられた角速度センサ14、及び自車位置検知部13からの情報とに基づいて、自車位置を特定する。これにより、自車位置検知部13からの情報だけに基づく場合に比べて、高精度に自車位置を特定することが可能になる。また、車速に関する情報に基づいて、第1制御部29は、車両の走行速度(車速)が閾値以上であると判断した場合に、本体部10の操作を制限(禁止)する制御を設けてもよい。

 

 【0069】〜【0071】で、第4実施形態の効果を説明しています。

 車両ECUには、アクセサリ電源からの電力が供給されていますから、電流検知でアクセサリ電源のオンオフ状態を知ることが出来ます。

 また、車両ECUには、車速信号パルスの入出力もあるため、車速に関する情報も得ることが出来ます。

 車速に関する情報は、自車位置を特定するのに役立ちますし、車両の走行状態を知れるので、走行中の操作を禁止する制御も可能になります。


【発明の詳細な説明】の書き方について (その19)

 

 第4実施形態を詳細に説明します。

 青字で、実際に私が考案した発明の特許明細書の例(第4実施形態)を説明します。


 fig8fig8


   【0068】

 第4実施形態における電流検知部40は、車両のECUの近くに設けられ、ECUに接続されるアクセサリ電源線と接続され、アクセサリ電源からECUに流れる電流(ECUへのアクセサリ電源からの電力供給の有無)を検知する。また、電流検知部40は、ECUに接続される車速信号線と接続され、車速信号パルスを検出する。ECUに流れる電流を検知した場合には、隣接して設けられた発信部41から、本体部10に設けられた受信部16に向けて、車速信号パルスの情報を含む信号を第1情報として送信する。電流を検知しない場合には、発信部41は信号送信を行わない。

 

 第4施形態では、第3実施形態と同じように本体部10から離れた位置に設けられた電流検知部40が使用されますが、取り付けられる位置が異なります(第3実施形態:シガーライターソケット、第4実施形態:車両ECU付近)。

 【0068】では、電流検知部40の構成を説明しました。

 ここで、またしてもミスを見つけてしまいました(本当は出願前に見つけるべきです)。

 第4実施形態に対応する図面は図8なのですが、【0068】などの文章の中に、図8という言葉が出てきていません。

 【図面の簡単な説明】の中で、図8が第4実施形態の構成図ですよと説明しているので、これも致命的ではないのですが、書いておいた方がわかりやすいですよね。

 私は特許明細書を書くことを生業とする弁理士で、この特許明細書についても、出願する前に何度も何度も見直しをしました。

 それでも、見落としはあります。

 ただ、開き直る訳ではありませんが、前後の文章から推測出来るような誤記や記載漏れは、後の補正でなんとでもなりますから、神経質になる必要はありません。

 第3実施形態の【0062】の誤記や、第4実施形態の【0068】の図面番号記載漏れは、後の補正でなんとでもなるレベルです。

 こういった誤記を無くすことも重要ですが、それよりも【特許請求の範囲】で言っていることに誤りは無いかとか、【特許請求の範囲】で言っていることをしっかりと【発明の詳細な説明】でフォロー出来ているかという確認の方が重要です。

 ってことを伝えたいのですが、ミスしたことへの言い訳に聞こえますかね?


【発明の詳細な説明】の書き方について (その18)

 

 第4実施形態の説明に入ります。

 青字で、実際に私が考案した発明の特許明細書の例(第4実施形態)を説明します。

 

   【0067】

 次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態では、電流検知部(第1検知部)40の構成が第3実施形態と異なる。以下、第3実施形態と異なる点を中心に説明する。

 

 第4実施形態は、第3実施形態との比較で説明するのが簡単だったので、第3実施形態と異なる点を中心に説明することにしました。


【発明の詳細な説明】の書き方について (その17)

 

 第1〜第3実施形態の説明が終わりました。

 これから第4実施形態の説明に入ります。

 実施形態は、思いつく限りたくさん書いておいた方がいいです。

 特許請求の範囲に記載された内容が、実施形態の内容をフォロー出来ていることが前提になりますが、実施形態がたくさんあれば、特許請求の範囲に記載された範囲を明確にすることが出来ます。

 第三者に総てを悟らせないために、必要最小限の実施形態の説明に抑えるという応用編が無い訳ではないのですが、まずは、思いつく限りの実施形態をしっかりと書いておきましょう。

 何件もこなして、これだけは書かないとまずいなという感覚を掴みましょう。


【発明の詳細な説明】の書き方について (その16)

 

 第3実施形態の詳細を説明していきます。

 青字で、実際に私が考案した発明の特許明細書の例(第3実施形態)を説明します。

 

   【0066】

 なお、シガーライターソケットを介した電力供給は、アクセサリ電源のオンオフ状態に連動せず、常時行われる車両もあり、この場合には、第3実施形態の効果は得られない。

 

 欧州車の一部は、シガーライターソケットが、アクセサリ電源と連動せず、バックアップ電源と連動するタイプもあるので、そのような車両では、第3実施形態の効果が得られないことを【0066】で説明しました。


【発明の詳細な説明】の書き方について (その15)

 

 第3実施形態の詳細を説明していきます。

 青字で、実際に私が考案した発明の特許明細書の例(第3実施形態)を説明します。

 

   【0063】

 なお、電流検知を行う電流検知部40、及び第1情報発信を行う発信部41は、いずれもシガーライターソケットを介して供給された電力に基づいて駆動される。従って、シガーライターソケットを介して電力が供給されない時には、電流検知部40、及び発信部41は、いずれも電力を消費しない。

   【0064】

 第1制御部29は、受信部16が第1情報を受信していない間は、車両のアクセサリ電源がオフ状態にされていると判断して、モニター17の表示など本体部10のメイン動作をオフ状態にする。なお、第1情報の受信、時計機能、及び図4で示される電力供給制御など、常時行われる動作は、かかる電流検知部40における検知結果に関係なくオン状態にされる。

   【0065】

 シガーライターソケットは、通常車両のアクセサリ電源と連動しており、アクセサリ電源がオフ状態の場合には、シガーライターソケットを介した電力供給は行われず、アクセサリ電源がオン状態の場合には、シガーライターソケットを介した電力供給は行われる。このため、シガーライターソケットへの電力供給状態を、アクセサリ電源のオンオフ状態として検知することで、アクセサリ電源のオンオフ状態に連動した本体部10のオンオフ制御を行うことが可能になる。

 

 【0063】〜【0065】で、第3実施形態の効果を説明しています。

 国産車のほとんどは、シガーライターソケットが、車両のアクセサリ電源と連動しているので、ここに流れる電流の有無を計測すれば、エンジンのオンオフとほぼ連動した動作が可能になります。

 電流が流れている時だけ、流れた電流を駆動源にしてその情報を送信すれば、本体部10はエンジンのオンオフ状態を知ることが出来ます。


【発明の詳細な説明】の書き方について (その14)

 

 第3実施形態の詳細を説明していきます。

 青字で、実際に私が考案した発明の特許明細書の例(第3実施形態)を説明します。

 

fig7
 

   【0062】

 第3実施形態における電流検知部40は、車両のシガーライターソケットに取り付けられ、シガーライターソケットに流れる電流(シガーライターソケットを介した電力供給の有無)を検知する。電流検知部40が、士カーライターソケットに流れる電流を検知した場合には、隣接して設けられた発信部41が、本体部10に設けられた受信部16に向けて、一定の信号を第1情報として送信する。Bluetoothなどが、発信部41から受信部16への通信手段として考えられる。電流を検知しない場合には、発信部41は信号送信を行わない。

 

 第3実施形態では、第2実施形態と同じように電流検知部40が使用されますが、取り付けられる位置が異なります(第2実施形態:本体部10内、第3実施形態:シガーライターソケット)。

 【0062】では、電流検知部40の構成を説明しました。

 実は、【0062】には、誤記があります。

 シガーライターソケットと書くべきところを、士カーライターソケットと書いてしまいました。

 キーボードの打ち込みミスですね。

 何度も見直したつもりですが、見落としていました。

 言い訳や開き直りではありませんが、この程度であれば、前後の文からシガーライターソケットと書くべきところを打ち間違えたんだなぁと理解してもらえると思いますし、補正で直すことも出来ると思います。

 今回の場合は、補正で直せるレベル(出願時の明細書に書かれた事項から逸脱した新規事項とは見なされないレベル)なので、致命的にはなりませんが、場合によっては、新規事項に該当して修正不可能なこともありますから、誤記は出来るだけ注意しましょう(説得力ないか?)。


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